第250回熱工学研究会の開催

群馬大学教授 小保方富夫 tobo@me.gunma-u.ac.jp

昔から,斯界の権威が大学の枠を超えた研究会(ゼミ)を主宰し,情報交換と若手研究者の育成を行っていた.平尾収教授(東大生研)の自動車研究会,辻廣教 授(東大宇宙航空研究所)の燃焼研究会などが広く知られ,国際的なシンポジウムを構成するなど,研究分野の発展に寄与している.

淺沼強教授(元東大宇宙航空研究所,東海大学)が産業技術総合研究所(元機械試験所)と関東圏の大学(東京大学,群馬大学,茨城大学,埼玉大学,千葉大 学,東京農工大学,東海大学,明治大学,工学院大学,足利工業大学,自動車研究所など)で開催している標記熱工学研究会を紹介する.本研究会は群馬大学工 学部発足時の機械工学科「熱及熱機関講座」の淺沼教授が昭和33年(1958年)東京大学航空研究所教授に転出の前後,当時の機械試験所第三部長を併任さ れたことがあり,所員と大学教官の研究活性化と近隣企業や内外研究者との情報交換のため,昭和42年より開始されたもので,爾来35年を経て第250回の 開催となった.

今回は記念研究会として,群馬地区技術交流研究会の熱流体分科会,北関東産官学研究会,群馬大学地域共同研究センターとの共催で,8月9日(金),群馬大 学で開催され,次の話題が提供された.

1)    熱工学研究会250回記念挨拶,東京大学名誉教授 浅沼強 先生
2)    熱工学研究会の思い出,群馬大学名誉教授 倉林俊雄 先生
3)    サージチューブの開発と各種計測法の話題,(株)司測研取締役 柳原茂 氏
4)    新開発エンジンにおける最近の話題,群馬大学客員教授 石井清博士(ホンダ学園技術主幹)

本田技研の八木静夫,藤井功氏等の群馬大学卒業生や現役学生も含め約50名の参加があり,熱心な討論が行われ,引き続き行われた懇親会でも旧交を温めた. この研究会参加者の中から多数の博士論文が完成し,マン島グランプリ優勝やCVCCエンジン開発にも関連した基礎研究が行われ,日本の自動車エンジン開発 を支える研究者,技術者,教官の育成に多大に貢献してきた.特に学会発表前のリハーサルを兼ねたホットな研究の発表は若手の鍛練に有効であった.自動車関 連企業との交流も多く,地域連携研究の草分け的存在でもあり,さらなる発展を期待している.