ライター

〜〜 ある日の荻・・・ 〜〜

2001/01/12

「歳に負けないで・・・。」

本当は、歳に負けそうになっているのは自分だろ?
それにしても、女性に対して、ひどいセリフを言ったもんだ・・・。

責任感や向上心が強いひとなのかもしれない。常に少しだけ肩に力が入っている、そんな風に見えた。
そして、「少し、肩の力を抜きたい。」と思っていたのも、本当は自分自身なんだろうと思う・・・。

もう少し力を抜いて「自分らしく」なれば、もっと素敵な人になりそう・・・、
勝手にそんな事を思い、ヒョイと口にしてしまった言葉。
なんともはや、ひどいセリフを吐いてしまったものだ・・・。

宴会が終わり、上り最終電車を目指して、ホームへの階段を降りながらそう思っていた。
電車に乗り込み、半ば自己嫌悪に陥りながら目を閉じて考え込む。

次に目が開いたのは、目的地を一つ過ぎた駅。ちょうどドアが閉まる所だった。
アイタタタ・・・・。

次の駅で降りる。下り線はまだ動いているらしい。
下り線のホームへ移り、タバコに火をつけようとしてライターを弾く。
2回、3回・・・、火はつかない・・・。
立ち止まってやり直す。
厚底ブーツの若い女性が自分を追い抜き、目の前のベンチに座ってタバコに火をつける。

タバコをあきらめ、歩き始める。
ベンチのすぐ向こう、自販機の影の喫煙コーナーを通り過ぎる。
未練がましく、喫煙コーナーに近い柱にもたれて立つ。

風は無く、気温が低い・・・。
電車の中でウトウトした事で、かえって酔いがまわったのかもしれない。
寒さがかなりこたえる。

「まったく・・・、ライターまでエンプティか・・・、小さな火種の一つもなけりゃ、タバコだって吸えない・・・。」
もう一度、タバコをくわえ、なんとなくムキになってライターを弾く。

「あの・・・。」
ライターが差し出される。
少し距離があったのに、厚底ブーツの女性にはジッポの音が聞こえていたらしい。

喫煙コーナーまでの数メートルを戻りながら、一言問いかける。
「わざわざ、そっちから来てくれたんですか?」

答えずに、ちょっとはにかんで、女性はベンチに戻っていった。

火がついた・・・。ただそれだけの事なのに、なぜか嬉しい気持ちになる。

タバコを灰皿に捨てる。
少し元気がでて、暖かい物が飲みたくなる。

自販機の前で、小銭を取り出し、フト、思いついて缶コーヒーを二本買う。
一本を女性に渡して、つぶやく。
「ありがとう。」

同じ電車に乗り、同じ駅で降りる。
一言も交わさないまま、降りた駅で彼女を見失う。

最初のコンビニで、100円ライターを買う。
コンビニを出て、タバコに火をつける。

煙を吐き出しながら、こう思った。
「どこかにライターがつかない人いないかな?今なら家一件分だって火をつけてあげるのに・・・。」

少しだけ陽気になって、家路についた・・・。



まったく!自分自身をかえりみる事もしないで、ひどい事を口にしてしまったもんです。
歳を気にしているのは自分の方なんですよ、きっと・・・。
自分の価値判断だけで、人を傷つける様な事を言ってはいけません!!
絶対、嫌われちゃったな・・・。

っで、少し落ち込んでた時に、
ほんのちょっと優しくしてもらったら、やけに嬉しかった♪ってだけの話なんですけどね。

ねぇ?だれかライターの火がつかない人いない??(笑)

@酔っぱらいモードの今回は、背景画像無しです。
てっ、手抜きUP??(苦笑)


〜〜 ある日の荻・・・ 〜〜
〜〜 TOP放課後の原っぱ(BBS)MAIL 〜〜