あの頃のある日

〜〜 ある日の荻・・・ 〜〜

2002/02/07

「明日は子供とソリ遊びだからね!」
そう言って、同僚の一人がイソイソと帰って行く・・・。
もう定時なんて、とっくに過ぎている・・・。待機当番の私とだって、そうは変わらない時間だ。

数分後・・・、私も社を後にする。
雪遊び装備を追加しようと、市内をウロウロし始めた。

携帯が鳴る。雪遊び仲間の一人から、メールの一報・・・。
そのチームの出撃は、どうやら明後日に決まったらしい。
明日は・・・、ソロか・・・。

家に帰り着く。
「そうだ・・・、明日はあそこに行ってみよう・・・。」
ゴソゴソと雑用を済ませ、寝床に入った後・・・、寝ぼけながらそう思った。

なんとなく仕事に行く時間に目が覚める。どうやら夢は見なかったらしい。
おもちゃの類は・・・、先週から愛車の中。
先シーズンからの新しい相棒も・・・。
以前の相棒と同じように、今ではおもちゃ箱だかガラクタ箱だか区別不能の有り様。

電話をかけてみる事は・・・、今日は意味がないだろう。
軽くネットをウロウロして、出発・・・。

高速を北上・・・。
あの頃の「ある日」のように・・・、いつもは仕事で耳にする地名が、次々と後ろに逃げ去って行く。
舌を出す気分には・・・、今日は、ちょっとなれない。

都内のFM局が少しずつ力尽きて行く。
あの頃、壊れていたMDデッキは、新しい相棒になった時に買い換えた。
エイヤ!とばかりに、あの時に聞きたかったMDを放り込む・・・。
そう言えば・・・。
「雪遊び用MD」も、あの頃の曲達とは、少しばかりラインナップが変わっている。

「ハラガヘッタ!!」の一言で、早めの食事。
あの日よりかなり手前ではあるが・・・、それでもやっぱりの「天玉ウドン」。

あの頃走った、目的地へ向かう幾つかのルート・・・。
「あの日」のルートではないのだけれど・・・、あえて、遠回りルートを選択。
県境を越えた所で高速を降り、国道へと入る・・・。
有料道路へ向かう交差点を、ひょいと右に曲がった所でその車に気がついた。
大型の4WDだ・・・。

地元の車について覚えた道・・・。
通い慣れていなければ、たぶん、このルートは選択肢にはない。
その大きな4WDは、まるで自分を案内しているかのようにウィンカーを点滅して走って行く。

「ソコは右・・・。」「次も右!・・・だよね。」
先行車の動きを眺めながら、頭のなかで、あの頃好きだったルートをトレースしてみる。

「地元・・・、なのかな・・・。」
ナンバーを読み取ろうとするが・・・、もしかすると、視力もあの頃とは変わっているのだろうか。

その車は、ノンビリ走る車達をタイミング良く抜いて走って行く。
つられるように・・・、こちらのペースも少し上がる。

「そろそろ、乾いた路面も終わりだな・・・。」
道は山へ近づいてゆき、やがて、積雪が予想される地域に突入する。
その頃には、すっかり安心して先行車の後ろについていた。
「速い」のではないかもしれない・・・。それでも、「早い」ペースで確実に登る。

凍結路での適度な車間・・・。
日陰やコーナーで、着いたり離れたりしながら登って行く。
「あっ、前はこの辺で一端停止の儀式があったっけ・・・、今やオレもフルタイム四駆か・・・。」
そんな事も思い出していた。

センターコンソールの時計に目をやる。
「この時間に、下って来る車がいないんだ・・・、やっぱりやってないか・・・。」
ひょいと手を伸ばし、表示を外気温度計に切り換えて走り続ける。

料金所が見えてくる。目的地は、もうわずかな距離・・・。
料金所通過のタイミングで、先行車と少し離れる。
遅れて走り出し・・・、目的地への最後のコーナーへ入っていく。

「ソコに居るんでしょ?」
期待を通りに・・・、その4WDは止まっていた。
予想通り閉鎖されていた駐車場・・・、その入り口付近の小さなスペースに。
車から飛び降りた犬が、凍った駐車場をハイになって走りまわっている。

すぐ後ろに車をつける・・・。
車から降りると、犬はドリフトしそこないながらふっ飛んで来た。

犬の頭を軽くつつきながら、ドライバーとその同行者達に話しかける。
「今年もやってないんですね・・・。時々来てた場所なんですけど・・・。」
自分より、少し年上のチーム・・・。
一人の女性が首を傾げながら、答えてくれる。
「なんだか、もうダメみたいですよ・・・。」

悪いクセが出る・・・。
うまく話題を繋げられず、「残念ですね・・・。」とだけ言って、車に乗り込む・・・。
タバコに火をつけて車を出す・・・。

「色々と話してみれば良かったかな・・・。」
少し後悔しながら、もう一度、駐車場のへりに車を止めてみる。
モーグルごっこの一本道があったバーンが見えている・・・。雪は少ないように思う。
枯れ草のように、所々で雪から顔を出しているのは・・・、
近くで見れば、ゆくゆくは大きくなっていく樹の子供達なのかもしれない。

視線を下へ移して行く・・・。
「ソリ遊びコーナー辺りは、今でも踏み跡もあるんだ・・・。」
たまには、地元家族が子供のソリ遊びに訪れているのかもしれない。

眺めているうちに・・・、タバコが終ってしまった。
そいつを灰皿に突っ込んで・・・、思い出のゲレンデを後にした。



「白河高原スキー場」を偵察してきました。
ここは「00年 3月某日」の舞台になった場所です。
「あの頃のある日・・・。」だけ読むと意味不明かも・・・。(苦笑)

初心者の頃に行ったスキー場なんざ、かえって思いも深かったりするモンです。
感謝を込めて、「あの日」をなぞった一文を書いてみました。

私が初めて訪れた時は「赤面山スキー場」という名前でした。
風が強い事が多い山で、スグにリフトが止まっちゃいます・・・。
「赤面山の名の由来は、風が強くて顔が真っ赤になっちゃうから!!」
などと、今でも勝手に解釈しています。

「雪遊び♪」的には、閉鎖も2年め・・・。
「一年だけお休み」との情報もあったのですが、もう復活は無理なのかな・・・。

スキーがブームだった頃、レストハウスやリフトの新設が行われました。
施設の改修が終わって営業が始まり・・・、そしてブームも去ってしまいました。

よりニーズの少ないもの程、順番に淘汰されてしまうのは仕方ない事・・・。
それは分かっているんです・・・。ちょっと・・・、寂しいだけです。

時々出没する、スキーで追いつけないほど激しくかっとぶアルペンボーダー・・・、
一人トコトコとコンパクトカーで登ってきて、「キレイ」とはまた違う自然な滑りをする女の子・・・、
スキー場の関係者が趣味で作ったような、それでもエアー台まであった小さなモーグルコース・・・。

またいつかの「ある日」に、ここを滑ってみたいモンです!!
出来るモンなら・・・、その頃には飛べるようになっててみたいかな♪

帰りは「あの頃のある日」のルートを、逆にたどって帰ってきました。
背景画像は・・・、
当日、「あの頃のある日」と同じ場所から見た景色です。



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