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01’8/23〜24 |
縁あってお知り合いになれた、お二人の方のご案内で、遂に黒部源流域を訪問した。 「黒部源流の大イワナの化身ではないか?」と、密かに噂されているHiroさんと、 「黒部カベッケ原出身のカッパ?」こと、ケイピンさんのお二人である。 お二人は「黒部源流のイワナを愛する会」のメンバーでいらっしゃる方達だ。 お二人にお世話になり、登山未経験、釣り未熟者の私が、黒部を堪能する事が出来た。 その5日間を、文章にする事はとても難しい。果たして自分に書けるのやら?だったりしている。 「散遊記」 そんな言葉が、実際に有るかどうかは知らない。 「登山記」でも「釣行記」でも無い、そんな5日間。ほんの少しでも雰囲気が伝われば幸いに思う。 では!始まり始まり〜!! |
〜〜 8/24 〜〜 23日から、ちょうど日付が24日に変わった頃。同行のあっくんの車で埼玉県の関越道花園ICに滑り込んだ。 あっくんとは、お互いの実家がほぼ隣町の距離という事も有り、合流点は埼玉の某所となった訳だ。 上信越道〜北陸道を渡り継ぎ、集合場所の「あるぺん村」の駐車場に着いたのが、朝の4:00頃、悪くないタイムだ。 いくらもせずにケイピンさんの車がやってきた。ケイピンさんとdunkeldさんのお二人が到着である。 「お久しぶり!」と挨拶を交わす。 ケイピンさんとは、8月初旬の忍野OLM以来、dunkeldさんとは春の美山OLM以来である。 なんとなくdunkeldさんのイメージが以前と少し違う。なんと、この黒部行の為に体を絞ったのだそうだ。 ヤバイぞ・・・、dunkeldさんと言えば、キャスティングトーナメントにも出場しているスポーツマン。 その方が黒部対策で体を絞ったのなら・・・、ワハハ、私など、どーなる事やら・・・。 Hiroさんの到着を待つ間、仮眠をとる事にする。「Zzzz・・・。」と、あっさり眠りに入る。 突然、携帯電話が鳴る。「んわわ・・・。」と寝ぼけながら目を覚ますと、横から視線が・・・。 大きな車の中で、人懐っこい笑顔がこちらを見ている。 Hiroさんも合流・・・。 |
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これで、今回のチームが完成。このチームを中心に、全行程を歩く事になる。 「イワナの会」メンバーの源流の熊さんの家によらせてもらい、持参のコンビニオニギリで朝食を済ませる。 熊さん宅から、計8名で折立の登山口を目指す。 折立の駐車場で準備を済ませ、折立ヒュッテ前でいざ入山と言う段になって、さぁっと軽く雨が降る。 ザックにカバーをかけ、カッパを着るほどでは有るまいと装備を整え直す。 一応スパッツを着け、「転んだら痛いしな・・・。」と用意したメッシュのグローブも装備してみる。 この二つについては、実はすぐに後悔する事になるのだが・・・。 登山口を入ってすぐの所に、一つの石碑が建っている。 前を歩き始めたHiroさんが、立ち止まって手を合わせる。 下調べの為に買ったガイドブックにも載っていた石碑だ。 冬期に大学の13名のパティーが全員遭難した事があるそうだ。 この石の塔は十三重になっているはず・・・。 私も軽く手を合わせ、無事を祈る。 先頭をHiroさん、しんがりをケイピンさんという隊列を組んで登り始める。 熊さんは流石のスピードである。風の様に視界から消えてしまった。 Hiroさんの後ろを歩いていると、もどかしい程ゆっくり登って行くのが分かる。 「そうか、登り始めはゆっくり歩くんだっけ・・・、それにしてもゆっくり・・・だなぁ。」 などと思っていたが、これは、Hiroさんの初訪問組への特別な気遣いだったらしい。 体が慣れるまでは、わずかに歩いただけでおそろしく汗が出る。 スパッツとグローブも、暑さに負けてすぐに外してしまった。 どうやら、まずは暑さ対策が重要なようだ。樹林帯の中は風通しが悪い事もあり、すでに汗グッショリ。 最初の休憩での、おそらく全員共通の感想は・・・、「あちい・・・」。 dunkeldさんが一言。「ハハ、体から湯気出とるワ。」 ・・・冗談では無く、初訪問組みには深刻な話。登り初めてすぐの辛さが、これ程とは思わなかった。 |
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高度が上がってくると、樹林帯が切れて展望が開ける。 天候は曇り。それでも、下方の有峰湖が見えて景色が良い・・・、 いや、たぶん良かったと思う。(笑) 正直に言うと、この辺りの景色を本当に堪能できたのは、 やっと余裕の出来た下山時・・・。 Hiroさんが時折立ち止まって説明して下さる時以外、 周りの景色を見る余裕はなかったような気がする・・・。(苦笑) 無理をせず、自分のペースを作って歩くように心掛ける事にする。 |
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何度か休憩を入れながら高度を上げ、 最初の目標点の太郎平小屋を目指す。 あっくんが「太郎には、生ビールがありますよ。」 と教えてくれる。 いつもなら、 「生ビールが飲めるゾ♪」パワーが出る私だが、 この時点では、「飲んだら後がキツイかな・・・。」などと、 まるで弱気な思いも頭をかすめる。 それでも・・・、 しっかり水分の補給量を押さえてみるあたりが、 私のゲンキンな所だろうか・・・。 |
先行していた4人の前に、太郎平小屋が見えてきた。「ふう」とため息をつきながらたどり着く。 そして・・・、小屋の方から大変悲しいしらせを聞く。 「生、ちょうど切れちゃたんです。」 ガ〜ン・・・。 「缶ビールはあるんですよね?」「有ります。」「く、下さい!!」 しっかり飲んでしまう・・・。やっぱり私はゲンキンなのかも知れない・・・。(苦笑) 太郎平小屋のメニューには、なんとラーメンがある。ソイツを注文して昼食♪にする。 さて、この場所は携帯電話の使用可能限界点になる。 これから向かう場所は、一番低い山でも2500m以上という山々に囲まれた源流帯。 太郎平小屋から尾根を横切って下り入ると、「俗世間よ、さようなら〜♪」となってしまう訳だ。 Hiroさんとは、ネット上の共通のお知り合いも多く、途中の休憩である方の話題になった。 「いつか黒部にも来てほしいんよ。」「あっ、太郎から、携帯メールしてみましょう!」となり、 食後に外へ出てメールを送ってみた。 ところが・・・、うまく送れない。小屋到着寸前に、あっくんが送っていたメールは、すんなり送れたのにである。 どうやら、少しガスが厚くなるだけで圏外になってしまうらしい。 たぶん、有効な距離に基地局がある訳ではなく、見晴らしの良さだけで電波が届いているのだと思う。 ・・・黒部、恐るべし!(笑) なんとかメールを送りおえ、これで携帯電話は「お役目、ご苦労!!」となる。 小屋の方とは顔なじみのHiroさんのお蔭で、ちょっと嬉しい差し入れも頂いた。 急遽、樽の差し替えをしてくれたのだと思うのだが、小屋の方が私達の所へ生ビールを一杯持ってきてくれた。 dunkeldさんを除いた呑ベぇ3人で分け合って頂く。 「やっぱ、美味いねぇ〜♪」 食事が済んで生ビールにもありついた・・・。しかし、ケイピンさんがまだやって来ない。 「ケイピンはゆっくり登る方やからなぁ。何度も来とるし、大丈夫やと思うよ。」 とHiroさんから聞き、薬師沢小屋への到着時間も気になるので出発する事にする。 実はこの時・・・、 ケイピンさんは大変な苦労をしていて、後に大記録を打ち立てる事になるのだが・・・。 いよいよ下りが始まる。 学生時代に登山部経験持つ友人は「下りは危ないよ。靴はしっかり絞めてね。」とアドバイスをくれた。 靴ヒモを絞め直して、薬師沢小屋を目指して下り始める。 登りと下り、どちらが大変かと言われると、かなり難しい質問だと思う。 体重を支え続けているので、しばらく下り続けると、膝が笑ってきそうになるのが分かる。 ケイピンさんの生まれ故郷との噂の、カベッケ原を通過すると、小屋まではもう間近だ。 このカベッケ原には、本当にカッパ伝説があるのだそうだ。 |
ヘロヘロになりながら、本日の宿泊地薬師沢小屋へ到着。 小屋の前に水が溜めてあって、水場になっている。 冷たい水を流してあり、沢山の缶ビールが浮かべてある。 350ml缶で500円。 準備期間中に、 「良い景色の中で飲める様に、一本ビールを持って行こうかな。」 と話す私に、 前記の友人から、こんなアドバイスも有った。 「少しでも軽くした方がイイよ。どうせ、一本1000円でも買うんでしょ?」 「・・・、買う!!」 う〜む、なかなかうまく心理を読んだ、的確なアドバイス。 やっと、オアシスにたどり着いたと言う訳だ。(笑) |
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到着はだいたい16:00頃。部屋へ荷物をあげて、やっと一息つく。 「疲れたねぇ〜。これから釣りはちょっと辛いかなぁ・・・。」とあっくんに語りかける。 迷っていると、部屋へHiroさんが上がってきて声をかけてくれる。 「釣ります・・・か?」 「さあ、行こうか!」でない辺りは・・・、う〜ん、へばっているのを、すっかりお見とおしだったのかも・・・。(笑) 「うっ、う〜ん・・・、釣ります!!」 そう、私は、釣りに来ているのだ。迷っている場合ではない!沢を見なくてどーする!! ・・・本当は、一回でも多く竿を出しておかないと、私では釣れないかもしれないなんて事を、思ったとか思わなかったとか・・・。 釣りの準備を済ませ、川へ降り立つ。 釣りとなったら、なぜか足取りが軽いのは、背中の荷物が無くなったせいとして置きたい。 でもひょっとして・・・、やっぱり私はゲンキンなのか??(苦笑) 薬師沢小屋前から、黒部源流を釣り上がる形になる。かなり広く、バックが取りやすのでロッドが振りやすい。 道具立て、804のパックロッド・6X7.5リーダー・6Xのティペットを少々。 短めのセッティングは、源流帯の状況を意識しての事・・・。 っと言いたいところだが、実は、釣り始めは、いつもライントラブル多発な腕前。 キャスティングの調子が出てきたら、ティペットだけは延ばしてみる事にしよう。 ウェストバックにフライBOXやらフロータントやらを詰め込んで、登山用の速乾性ズボンにウェーディングシューズのいでたち。 釣り装備だけなら、軽くて良い。 毛鉤はボディCDC黒・アンダーウィングCDC白の、大きめのエルクヘアカディス。 これは、Hiroさん達に教えて貰って巻いた物。反応はなかなか良い。 っが、合わない・・・。普段から早合わせ病にかかっている私・・・、魚が見えてしまうと、徹底的に合わない。 去年に訪問された方が、「ゆっくりね」と教えてくれた事や、 別の方が「ちゃんと喰ってくれた時は、合わせんでもエエくらいやよ。」とアドバイスしてくれた事を思い出す。 イワナが毛鉤を見つける、のそ〜っと上がってきてパクリ。またゆっくり潜り始め・・・、トンと軽く合わせる。 乗った!慎重に引き寄せる・・・。黒部のイワナを初めて釣り上げた。 |
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![]() 初イワナ?! |
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ああそうだ、一つ説明して置こう。私が普段行く川は、奥日光の湯川。湯川は、古くからブルックの川である。 っと、言う事は・・・、これが記念すべき、自然渓流でのイワナ初Hitとなる。 (イワナを釣ったと言うにはあまりにもな超チビくんや、管理釣り場でなら、経験ありますけどね!) 「釣れたぁ〜♪」と、胸をなで下ろしながら・・・、ニッコリ♪ 竿を納め、小屋に戻ってみると、まだケイピンさんが到着していない。 私達の後に到着した会のメンバーの方に聞くと、行程的にかなり遅れている場所で追い越したとの事。 「え〜、ケイピンさん、もしかして太郎で足止め??」 太郎平小屋にあまり遅く到着すると、安全の為、通過出来ない事があるそうだ。 部屋で荷物を整理していると、外の登山道を見ていたdunkeldさんが一言。 「あれ?今のケイピンさんとちゃう?」 ケイピンさん到着!! 聞けば、途中の休憩で、すぐ後を歩いて来た観光バス仕立ての一団に抜かれてしまったそうだ。 その後は、もうどうにも出来ず、集団の後ろをゆっくり歩いてきたとの事・・・。 薬師沢小屋到着に11時間・・・。これは、ケイピンさんの最長時間記録になるらしい・・・。 一同揃っての食事〜宴会。 釣りの話や、イワナの事で盛り上がるが、今回は登山客がとても多い。 台風の影響か、同日程に登山者が集中してしまったらしい。 場が和んだ頃、ガラリと食堂の扉が開いた・・・。 「リーダーは誰だ!!」 山は、朝も夜も早い・・・。18:00頃にはもう寝床に入っている方だっている。 山小屋は、もちろん登山者の為にある。 会のメンバーには、山小屋関係者の方もいるので、その事はみなさん充分理解されていらっしゃる様だ。 消灯時間の21:00を前にして、早々の就寝となる・・・。 |
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この大混雑は、二日目以降も一同の行動に影響を与える事になる。 思えば、太郎平小屋で生ビールが切れていたのが、最初の兆しだったに違いない・・・。 さてさて、どうなります事やら・・・。 |
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